州最大の山火事で2000人以上が避難オンタリオ州北部の山火事、先住民コミュニティに避難命令

この記事のポイント
- カナダ・オンタリオ州北部で、制御不能な大規模山火事が発生
- 影響により、先住民コミュニティの住民数千人が避難
- 火災は「眠れる巨人」と呼ばれ、予断を許さない危険な状況
- 避難の際には、滑走路の短さなどインフラの脆弱性も課題に
鎮火の目処立たず、続く緊張
「レッドレイク12」と名付けられたこの山火事は、16万3000ヘクタール(東京23区の2.6倍以上)にわたって燃え広がり、サンディレイク・ファースト・ネーションの集落からわずか6キロの地点まで迫っている。涼しい天候のおかげで炎や煙は一時的に落ち着いているが、州当局は「鎮火に必要なほどの雨は降っておらず、この規模の火災を完全に消し止めるには数ヶ月かかる可能性がある」との見方を示しており、予断を許さない状況が続いている。
浮き彫りになったインフラの課題
事態を重く見たカナダ軍は日曜から支援に入り、カナダ軍の大型輸送機「CC-130ハーキュリーズ」などを使って住民の避難を支援。火曜日の午後までに第1フェーズの避難が完了し、2000人以上の住民が州内の受け入れ先コミュニティへと移動した。
しかし、この緊急避難は、遠隔地が抱えるインフラの脆弱性を浮き彫りにした。現地を視察したソル・ママクワ州議会議員は、滑走路が短すぎるために軍の大型輸送機が能力を最大限発揮できなかったと指摘する。議員は以前から、こうした遠隔地にある先住民コミュニティのインフラへの投資を政府に訴えてきたが、今回の災害でその懸念が現実のものとなった形だ。それでも彼は、この困難なミッションが「組織だった混乱」の中、成功裏に終わったと評価している。
広がる山火事の脅威とコミュニティの結束
この大規模な山火事はオンタリオ州に限った話ではない。カナダではマニトバ州やサスカチュワン州など広い範囲で山火事が猛威を振るっており、両州だけでも合計3万人以上が避難を強いられている。夏の乾燥した気候が、各地で深刻な災害を引き起こしているのだ。
こうした状況下で、サンディレイクには現在も約200人の住民や評議員が残り、重要インフラの維持やペットの世話、防火活動にあたっている。評議員のシンシア・フィドラー氏は「サンディレイクは危機に本当に強いコミュニティです。すぐに団結し、お互いを気遣い助け合う」と語る。
煙による大気汚染という健康への懸念も広がる中、「眠れる巨人」との対峙はまだ始まったばかりだ。コミュニティの強い結束力が支えとなる一方、気候変動がもたらす自然災害の脅威が、カナダ全土の人々の暮らしに重くのしかかっている。
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