今日、トランプ氏の誕生日に祝賀パレードと抗議デモが衝突

トランプ米大統領が、自身の79歳の誕生日である2025年6月14日、長年夢見てきた壮大な軍事パレードを首都ワシントンD.C.で実現させる。米陸軍創立250周年を記念するという公式な名目だが、事実上、大統領の誕生日を祝うための盛大な「ショー」となる。このイベントには大統領の家族も駆けつける予定で、20万人の観衆と、全米各地で巻き起こる大規模な抗議デモが首都を二分する、異例の一日となりそうだ。
米陸軍創立250周年記念軍事パレードの詳細

- 日時: 2025年6月14日(土)
- 場所: 米国ワシントンD.C.
- フェスティバル: ナショナル・モール(午前9時半~)
- パレード: コンスティテューション・アベニュー(午後6時半~)
- 花火: パレード終了後(午後9時45分~)
ワシントンD.C.での大規模な軍事パレードは、1991年の湾岸戦争終結記念パレード以来となる。
8年越しの夢-きっかけはフランス訪問
このパレードは、トランプ大統領が8年前から構想していたものだ。きっかけは2017年、フランスのマクロン大統領の招待で出席したパリの革命記念日(バスティーユ・デー)軍事パレード。シャンゼリゼ通りを行進する仏軍の威容に感銘を受けたトランプ氏は、マクロン氏に「あれを超えるものをやりたい」と語り、米国の軍事力を誇示するパレードの開催に強い意欲を見せていた。
大統領は6月10日の演説で「フランスは祝っている。だが、戦争に勝った我々アメリカは祝っていない。これからは祝うんだ」と述べ、パレード開催の正当性を力説した。
トランプ流の祝祭-反対デモも全米で
パレードは、陸軍の歴史を再現する兵士約6,600人に加え、M1エイブラムス戦車や戦闘機など120台以上の軍事装備がコンスティテューション・アベニューを行進する壮大なものとなる。退役軍人や戦死者遺族も招待されている。
しかし、この「トランプ流の祝祭」には強い逆風も吹いている。最大4,500万ドル(約67億円)に上る莫大な費用は連邦政府が負担するため、批判が集中。さらに、大統領の権威主義的な動きに反発する市民団体が、パレード当日に「王は要らない(No Kings)」と銘打った抗議デモを全米約2,000カ所で開催する。主催者は「数百万人が参加し、トランプ氏の行き過ぎた大統領令行使に抗議の意思を示すだろう」と表明しており、祝賀ムードに水を差す構えだ。
抗議の背景には、大統領がデモ対応のために州兵や海兵隊をロサンゼルスに派遣したことなどへの強い反発がある。
史上最高齢大統領の現在地
トランプ大統領は今年79歳となり、史上最高齢で就任した米国大統領としての記録を更新中だ。昨年の大統領選では、バイデン前大統領(当時82歳)との年齢が大きな争点となった。大統領の主治医は4月、「公務や頻繁なゴルフでの勝利といった活動的なライフスタイルのおかげで、健康状態は極めて良好」との声明を発表している。
パレード当日は雷雨が予報されており、大統領が趣味のゴルフを楽しむことはない見込み。また、イスラエルとイランの紛争が激化する緊迫した国際情勢の中での開催となり、大統領は翌日にカナダで開かれる主要国首脳会議(サミット)へ出発する予定だ。
賛否両論が渦巻く中、トランプ大統領は自身の誕生日を、アメリカの軍事力を世界に誇示する壮大なスペクタクルで祝う。このパレードは、彼のリーダーシップの象徴となるのか、それとも社会の分断をさらに深めることになるのか。世界がその行方を見守っている。
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